株式会社金銀箔工芸さくだ | ものづくり街道

城下町で発展した金箔づくり

　工芸品や宗教用具の装飾などに用いられる金箔は、日本で製造される99％以上が石川県金沢市で生産されています。金箔製造が盛んな理由は、高湿で製造の障害となる静電気が発生しにくいこと、製造工程で必要な紙をつくるための良質な水に恵まれていること、粘り強い気質を持つ金沢の人が地道な作業に向いていたことなどが挙げられます。
　生産は、1603年から260余年続いた武家政権の江戸幕府が金の扱いを厳しく統制し、江戸（東京）と京都以外での製造を許さなかったため、いったん途絶えます。しかし、1808年に焼失した金沢城の再建に大量の金箔が必要になったことを機に、金沢の有力商人らが幕府へ熱心に働きかけると、これが認められて金沢で金箔製造が復活しました。 1800年代後半には江戸で金箔が生産されなくなったこともあり、金沢の金箔が次第にシェアを広げ、現在では海外の工芸家にも使用されています。

職人の繊細な技術が輝きを生み出す

　「株式会社金銀箔工芸さくだ本店」は1919年に創業し、現在も金の輝きを保ちながら極限の薄さに打ち延ばす技を連綿と受け継いでいます。金箔は、原料である「純金にほんのわずか銀と銅を加えた合金」を箔打ち専用の特殊和紙に挟み込み、ひたすら打ち延ばしてつくります。何段階もの工程を経た金箔はわずか1～1.2/10,000mmという薄さで、光にかざすと向こうが透けて見えるほどです。
　本店では「ミシュランガイド・ブルーガイド」にも掲載された職人の技を間近で見られるだけでなく、オリジナル作品づくりができる金箔貼り体験コーナーも用意されています。また、直営売店では、きらびやかな工芸品、金箔入りコスメ、金箔入り食品などのショッピングが楽しめます。