発電所建設のために敷設された鉄道
富山県西部を流れる黒部川上流部の黒部峡谷は、日本一深い峡谷（V字谷）といわれています。その急峻な地形が人を寄せ付けず、かつては猟師すら足を踏み入れない秘境でした。この地域の雨の多さや急流が発電に適していることに着目したのは、富山県出身の科学者で実業家の高峰譲吉です。1917年、アメリカの会社との共同事業でアルミニウム製造工場の建設を企図し、その工場の電力供給源として黒部峡谷に水力発電を建設するべく調査に入ったのが始まりでした。
その水力発電所の建設に先立ち、発電所の建設資材や作業員を輸送するために敷設された鉄道が黒部峡谷鉄道です。1923年から工事に着手し、宇奈月から欅平までの約20kmが開通したのは1937年のこと。鉄道の敷設にあわせて、流域の発電所も順次建設されていきました。
黒部の大自然を感じるトロッコ電車
1950年代に入ると黒部峡谷は観光地としても注目され、1953年からは観光客や登山客も乗車できるようになりました。観光鉄道として広く知られる現在も、工事用資材の運搬や発電所の従業員輸送などの役割を担っています。
トロッコ電車は平均時速16kmで、宇奈月から欅平までは約80分。全区間にわたって絶景が楽しめ、川底から高さ60mに架橋されている黒薙－笹平間の後曳橋などスリリングな区間も。猫又駅付近では1936年に完成した黒部第二発電所が見られます。また、沿線の黒薙温泉は1645年に発見されたもので、宇奈月温泉の湯はここから引いています。
黒部峡谷鉄道
- 所在地
- 富山県黒部市黒部峡谷口11
- 営業時間
- 宇奈月駅始発7:32、終発15:40
- 休日
- 無休
- 料金
- 宇奈月→欅平間片道大人1,710円、6歳以上12歳未満860円、団体割引（15名以上）あり
- TEL
- 0765-62-1011
- アクセス
- 富山地方鉄道本線「宇奈月温泉」駅から徒歩すぐ
北陸自動車道黒部インターから車で約20分 - HP
- http://www.kurotetu.co.jp/
