350年の歴史を持つ、彦根仏壇
滋賀県琵琶湖のほとりの城下町・彦根で生産されている「彦根仏壇」は、17世紀半ばに武具や武器づくりの職人が始めたといわれています。当時、国がキリスト教を禁止したことを受け、仏教徒であると示すため家庭に仏壇を置くようになったのが普及のきっかけとなり、彦根藩の保護により発展しました。仏壇職人が集まった「七曲り」と呼ばれる屈曲した街路沿いには、今も仏壇店が軒を連ねています。
彦根の仏壇づくりは、工程によって7つに分業化されています。使う木を目利きし本体をつくる「木地師」、数千もの細かな部品を寺社建築と同じように組み立てて屋根をつくる「宮殿師」、木地の上に漆を塗る「漆塗師」、地金にタガネを駆使し手彫りによって仏壇の装飾を施す「錺金具師」、図柄を選定し、のみや小刀などで彫り上げる「彫刻師」、漆の上に金粉・銀粉で装飾する「蒔絵師」、ひとつの仏壇に千枚以上の金箔を貼る「金箔押師」の「七職の匠」です。各職人がつくったパーツを、仏壇店でひとつの仏壇に組み立てることで完成します。
「七職」の技術を体感する
仏壇づくりは、その工程のほとんどが熟練の職人の手作業で行われます。1901年創業の「井上仏壇」では、七職の各職人の工房見学や、金箔押し・蒔絵・漆塗り体験のコースを設け、彦根仏壇の伝統の技を伝えるだけでなく、職人の技術を活かしたウォッチワインダーケース（自動巻き腕時計箱）やテーブル、壁掛けなどのインテリアも展開しています。
さらに職人の技術とデザイナーがコラボした「chanto」というブランドを立ち上げ、コーヒーミルやカップといったカフェグッズなどの新しい製品づくりにも取り組んでいます。
井上仏壇
- 所在地
- 滋賀県彦根市芹中町50
- 営業時間
- 10:00～18:00
- 休日
- 火曜、GW、夏季、年末年始
- 料金
- 金箔押し体験1,300円～、蒔絵体験1,300円～、工房見学1カ所7,000円～（各要予約）
- TEL
- 0749-22-1587
- アクセス
- JR東海道本線・近江鉄道彦根・多賀大社線「彦根」駅から車で約5分
近江鉄道彦根・多賀大社線「ひこね芹川」駅から徒歩約8分
名神高速道路彦根インターから車で約10分 - HP
- http://www.craft-workshop.jp/
