06琵琶湖とその水辺景観~祈りと暮らしの水遺産~

  • 白鬚神社
  • 芦浦観音寺 阿弥陀堂(草津市)
  • 大庄屋諏訪家屋敷(守山市)
  • 兵主大社 楼門(野洲市)
  • 満月寺浮御堂(大津市)
  • 彦根城(彦根市)
  • 伊吹山(米原市)
  • 竹生島(長浜市)
  • 永源寺(東近江市)
  • 伊崎寺(近江八幡市)
  • 海津・西浜・知内の水辺景観(高島市)

古来より穢れを除き、病を癒すものとして祀られてきた水。
瑠璃色に輝く琵琶湖の周囲では、「水の浄土」の教主・薬師如来が信仰され、琵琶湖をのぞんで建立された寺社は、多くの人々の信仰を集めています。
また、琵琶湖とともに育まれた暮らしの中には、山水や湧水を使いながら、水を汚さない「暮らしの文化」が、現在も伝わっています。
さらに、湖辺の集落や湖中の島では、独自の食文化や伝統的な漁法が育まれてきました。
琵琶湖とその水辺の景観は、水と人の営みが調和した文化的景観として、多くの人を惹きつけています。
滋賀には、日本人の高度な「水の文化」の歴史が集積されています。

お問い合わせ
日本遺産「水の文化」ツーリズム推進協議会(公益社団法人びわこビジターズビューロー内)
電話番号
077-511-1530
FAX番号
077-526-4393
関連サイト
日本遺産 滋賀
お問い合わせ
草津市教育委員会事務局 歴史文化財課
電話番号
077-561-2429
FAX番号
077-561-2488
お問い合わせ
守山市教育委員会事務局 文化財保護課
電話番号
077-582-1156
FAX番号
077-582-9441
お問い合わせ
野洲市商工観光課
電話番号
077-587-6008
FAX番号
077-587-3835
関連サイト
野洲市観光物産協会
お問い合わせ
大津市産業観光部観光振興課
電話番号
077-528-2756
FAX番号
077-523-4053
関連サイト
大津市公式サイト
お問い合わせ
彦根市文化財課
電話番号
0749-26-5833
FAX番号
0749-26-5899
関連サイト
彦根観光ガイド
お問い合わせ
米原市商工観光課
電話番号
0749-58-2227
FAX番号
0749-58-1197
お問い合わせ
長浜市観光振興課
電話番号
0749-65-6521
FAX番号
0749-64-0396
関連サイト
長浜・米原を楽しむ観光情報サイト
お問い合わせ
日本遺産「水の文化」東近江地域協議会事務局(東近江市商工観光部観光物産課)
電話番号
0748-24-5662
FAX番号
0748-23-8292
関連サイト
東近江市ホームページ
お問い合わせ
近江八幡市文化観光課
電話番号
0748-36-5573
FAX番号
0748-36-5882
関連サイト
近江八幡市ホームページ
お問い合わせ
高島市観光振興課
電話番号
0740-25-8040
FAX番号
0740-25-8156
関連サイト
びわ湖高島観光ガイド

滋賀県のおすすめ

琵琶湖

琵琶湖を天台薬師の池と見立て建立された比叡山延暦寺や湖中に建つ鳥居が有名な白鬚神社、パワースポットとして有名な竹生島などに足を運べば、滋賀に暮らす人々が水を信仰の対象として生活してきたことを体感することができます。
また、湧水を巧みに生活の中に取り入れた針江・霜降の水辺景観、奥伊吹の山村景観や集落の中に水路が張り巡らされた伊庭の水辺景観、かつて琵琶湖や内湖に接していた彦根城では、暮らしの中に巧みに水を取り入れ豊かな生活を送ってきたことを今でも感じることができます。
沖島に暮らす人々は、今も漁業を生業としている人が多く、独特の伝統漁法が今でも伝わっています。
琵琶湖の魚を代表する8種類の魚介類である「琵琶湖八珍」、やニゴロブナと米を漬け込んだ鮒ずしなど、滋賀でしか味わうことができない食材を味わうことができます。

  • 竹生島
  • 針江・霜降の
    水辺景観
  • 琵琶湖の伝統漁法

滋賀県草津市のおすすめ

芦浦観音寺

芦浦観音寺は天台宗寺院として600余年の歴史を持ち、特に安土桃山時代から江戸時代中期にかけて湖上交通を管理する船奉行を務めました。そのことは、石垣や土塁を配し、境内全体が堀で囲われるなど、城郭を彷彿とさせる寺の様子によく表れています。

草津のサンヤレ踊り

草津のサンヤレ踊りは琵琶湖岸を中心とする市内の7地域(矢倉・下笠・片岡・長束・志那・吉田・志那中)で保存継承されています。室町時代に流行した風流踊りの系譜を引いた芸能で、5月3日に演じられています。水と共に祈り、水と暮らしが密着する往時の姿を今も見ることができます。

草津市北部

芦浦観音寺が所在する草津市北部には、古代から花摘寺廃寺など多くの寺院が建立されてきた地域といわれています。また、指定文化財の仏像がある宝光寺、蓮海寺、下寺町観音堂、橘堂などが所在し、その橘堂の近くには江戸時代末期の庄屋の屋敷である吉田家住宅主屋など多くの文化財があります。また、三大神社には国の重要文化財石燈籠や「砂擦りのフジ」と呼ばれるほどの花房をつける藤の花を見ることができます。

  • 芦浦観音寺 表門
  • 草津のサンヤレ踊り
  • 三大神社のフジ

滋賀県守山市のおすすめ

守山市について

琵琶湖へ注ぐ野洲川が運んだ土砂によって形成された沖積平野に位置する守山市。肥沃な大地と温暖な気候、豊かな水に恵まれ古くから豊かな暮らしを享受し、古の時代から栄えてきました。豊かな水は現在も網目のように中小の河川を流れ、農業用水や生活用水として暮らしに溶け込んでいます。市内には水とのつながりを示す遺跡や有形無形の文化財が色濃く残っており、その歴史を私たちに伝えてくれます。

「ゲンジボタル」の群生地

本市は古くから「ゲンジボタル」の群生地として知られ、大正13年第1号の国天然記念物に指定されていました。一度は水環境の悪化により絶滅しましたが、現在は市民の取り組みにより復活した多くのホタルが清らかな水で飛び交う姿を見ることができます。また、水の世界の教主として水との深いつながりを思い起こさせる「寺院」や湖国の伝統食である鮒ずしが今も祭事のなかに深く引き継がれている「神事」、敷地に舟入(ふないり)が残り、水運盛んな往時の姿を今にとどめる「大庄屋諏訪家屋敷」を見学することができます。

中山道の宿場 守山宿

東西交通の要衝にあたる本市は、近世には中山道の宿場、守山宿を中心に栄えてきました。守山宿は京都にも近く「東下りの京立ち守山泊り」と言われ、代々の将軍をはじめ各大名、朝鮮、琉球の各使節などは中山道を利用し、通行量の多い宿場町として大きくにぎわい発展しました。現在も中山道沿いには、第75代内閣総理大臣を務めた故宇野宗佑氏の生家で、造り酒屋だった旧宇野家を改修した「守山宿・町屋うの家」が整備されており往古を偲ぶことができます。歴史が香り、地域資源が豊富な守山市は見どころがいっぱいです。

  • 守山の湧水とホタル
    撮影者:西山秀一
  • 慈眼寺
  • 近江のケンケト祭り
    長刀振りの
    鮒ずし切りの神事

滋賀県野洲市のおすすめ

兵主大社

野洲市は琵琶湖の南東に位置し、豊かな自然や歴史を伝えるまちです。兵主大社は祭神を八千矛神とし、養老2年(718)に創建されたと伝えられます。その名から、源頼朝をはじめとする武家の信仰を集めてきたといわれます。流麗な朱塗りの楼門(室町時代・県指定文化財)が美しく、数多くの社宝や文化財を有しています。平安時代後期に造られた池泉回遊式の庭園(国指定名勝、見学有料)は、紅葉の名所として知られます。毎年5月5日の兵主祭には、氏子の村々からたくさんの神輿や太鼓が渡御してにぎわいます。

八ヶ崎神事

八ヶ崎神事は毎年12月上旬に行われ、宮司が湖中に入って御神体を清め、神を迎える神事です。兵主の神が白い蛇の姿となって示現し、亀に乗って琵琶湖を渡り、鹿の群れに守られて現在の社地にたどり着いたとの伝説にちなむもので、水と祈りとの深いかかわりを伝えています。

御朱印巡りマップ

自転車で巡る「兵いち」御朱印巡りマップは、御鎮座1300年を記念して作成された散策地図です。兵主大社の氏子域の神社を巡る2コースがあります。マップ記載のお店の参加者特典もあり、完走時には記念品が授与されます。御朱印巡りマップは兵主大社・野洲市観光物産協会などで配布しています。(神社御朱印帳・御朱印料は有料)

  • 兵主大社 庭園
  • 八ヶ崎神事
  • 御朱印巡りマップ

滋賀県大津市のおすすめ

大津市について

びわ湖の南西に位置する大津市は、天智天皇が近江大津宮に遷都して以来1300年以上続く古都です。世界文化遺産の延暦寺、日吉大社、西教寺、園城寺(三井寺)、石山寺、建部大社、浮御堂(満月寺)等の社寺をはじめ、京都や奈良等についで多くの文化財や史跡を有しています。また、おごと温泉や、琵琶湖疏水の通船、びわ湖バレイからのインフィニティな絶景など、多数の観光名所があります。

大津市の社寺仏閣

世界文化遺産比叡山延暦寺や、平安時代に建立された満月寺の浮御堂をはじめ、滋賀県の三大祭「山王祭」で有名な日吉大社、明智光秀の菩提寺である西教寺、かるたの殿堂近江神宮、近江八景「三井の晩鐘」で有名な園城寺(三井寺)、松尾芭蕉・木曽義仲の本墓がある義仲寺、紫式部が源氏物語の構想を練ったと言われる石山寺、大津三大祭「船幸祭」を執り行う建部大社等、古都大津の名にふさわしく枚挙にいとまがありません。

大津市のグルメ

鮒ずしをはじめとする湖魚料理に、瀬田川で採れるシジミを使ったしじみ飯や、モロコのつくだ煮など、水の恵みを感じられる食べ物がたくさんあります。ほかに、近江牛や滋賀特産の野菜を使った老舗のお漬物、旅人の疲れを癒すスイーツ、精進料理に蕎麦など、大津市ならではの味を堪能してもらうことができます。

  • 外輪船ミシガンによるびわ湖クルーズ
  • 世界文化遺産比叡山延暦寺
  • 鮒ずし(発酵食品)

滋賀県彦根市のおすすめ

玄宮園(玄宮楽々園)

玄宮園は彦根城の北にある大名庭園で、延宝5年(1677)に造営が始められました。国指定の名勝庭園から国宝の天守が見られるのは日本で玄宮園だけです。

旧彦根藩松原下屋敷(お浜御殿)庭園

旧彦根藩松原下屋敷(お浜御殿)庭園の池の水は琵琶湖の水位と連動して波打ちぎわが変化する汐入方式。淡水を利用した汐入形式の国名勝庭園は日本で唯一です。年に2回特別公開を実施しています。

彦根城

彦根城はかつては内掘、中堀、外堀の3つの堀に囲まれ、琵琶湖や松原内湖に接して築かれた「水城」でした。堀は昔は物資の輸送路としても使われており、今でも堀沿いに船着き場跡が見られるなど、面影を見ることができます。

  • 玄宮園(玄宮楽々園)
  • 旧彦根藩松原下屋敷(お浜御殿)庭園
  • 彦根城

滋賀県米原市のおすすめ

伊吹山西麓地域

伊吹山は、日本百名山のひとつであり、古くは、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の伝説にゆかりのある歴史的な山です。その伝説に登場する伊吹山の神は、大蛇である水の神として祀られ、奈良時代以降にはこの神の力を得るために修験者が山中で滝行を行いました。伊吹山から流れ出る水は、今も脈々と人々の生活を支えており、水の大切さを知る伊吹山西麓の人々は、伊吹山を水信仰の対象としています。

醒井宿

醒井宿は、中山道61番目の宿場であり、江戸時代には、多くの大名行列や旅人がこの地を通過しました。また、古くは、「古事記」、「日本書記」でも語られ、伊吹山の神との戦いで負傷した日本武尊(ヤマトタケルノミコト)がこの地の水で正気を取り戻したとされています。現在でも、旧街道には、平成の名水百選に選ばれた「居醒の清水」を源流とした地蔵川が流れ、大変珍しい水中花「梅花藻」が咲くことでも有名です。

東草野の山村景観

東草野地区は、姉川上流の谷部に形成された山村集落です。周囲を伊吹山系の山々に囲まれた土地ながら、数多くの峠道が古くから拓かれ、米原はもとより峠道を介した岐阜県との交流も盛んでした。また、この地区は、西日本屈指の豪雪地で、民家は長いひさし「カイダレ」や、消雪用にも用いられた貯水施設「イケ」、水路をせき止められた洗い場「カワト」など、大雪に対応した様々な工夫を見ることができます。

  • 伊吹山西麓地域
  • 醒井宿
  • 東草野の山村景観

滋賀県長浜市のおすすめ

長浜市について

中心市街は羽柴秀吉が長浜城の城下町として整備して以来、進取の気性で市民が培ってきた地域です。毎年4月にある長浜曳山まつりは、秀吉が長浜城主であった頃から伝わるもので、ユネスコ無形文化遺産にも選ばれています。また、湖北には観音信仰が深く根付いており、戦国の世をくぐりぬけて今もなお、人々に守り信仰され続けた観音様たちに出会えます。

竹生島

びわ湖に浮かぶ神秘的な雰囲気漂う竹生島。
宝厳寺の本尊は弁才天と千手観音。弁才天は宮島、江の島とともに日本三弁天に数えられています。また、中世以来西国三十三所観音霊場の三十番札所として多くの参詣客で賑わっています。豊臣秀吉公とのかかわりが深く、宝厳寺の唐門(国宝)は秀吉が建てた大坂城極楽門の一部で現存唯一の大坂城遺構として注目されています。
都久夫須麻神社本殿(国宝)は、時の天皇をお迎えするためにその時代の粋を集めてつくった「日暮御殿」という伏見城内最高の建築を神殿として寄進したものです。

菅浦の湖岸集落

永原駅から南に下がり、湖に映る木々が美しい並木通りを進むと、「隠れ里」と称される菅浦に辿り着きます。奈良時代には万葉集にも詠まれ、古くから湖上交通の重要な港として知られます。かつての監視門であった茅葺きの四足門(しそくもん)をくぐると、そこは懐かしい漁村の風景が広がります。
※平成26年10月6日、国の重要文化的景観に選定されました。

  • 曳山まつり
  • 竹生島
  • 菅浦の湖岸集落

滋賀県東近江市のおすすめ

伊庭の水辺景観

東近江市伊庭町は、湖東平野に残る水郷集落のひとつです。かつて繖山に端を発した伊庭川が集落の中心を流れ、そこから張り巡らされた水路を通じて人々が行きかい、内湖周辺地域の拠点集落として活況を呈しました。
町内には、伊庭川から引いた水路が縦横に巡り、豊富な水量と清らかな水質を見ることができます。
また、家々に設けられた「カワト」(川面に通じる階段)も多く残されており、水とのかかわりは今も息づいています。

五個荘金堂

五個荘金堂町は近江商人ゆかりの地で、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。水田地帯の農村としての歴史をもち、江戸初期には幕府領となり、元禄の頃(17世紀末)には大和郡山藩の陣屋が置かれました。金堂では、陣屋を中心に三方に寺院が配置され、江戸時代後期から昭和前期にかけての近江商人の本宅群と伝統的な農家が優れた歴史的景観を形成しています。白壁、土蔵、舟板塀が続く町並みには錦鯉が優雅に泳ぐ水路が縦横に走っており、その景観は豊かさと情緒を感じさせます。

永源寺と奥永源寺の山村景観

「永源寺」は、臨済宗永源寺派の大本山であり、南北朝時代の康安元年(1361年)、近江守護佐々木氏頼に請われ、当時高名であった寂室元光禅師が開山されました。また、「奥永源寺の山村景観」は東近江市の山間部に位置し、愛知川の源流域であり豊かな森の恵みに育まれた水は、広大な農地面積を誇る東近江市にとって、命の源といえます。
遠く深い谷底から引き込まれた共同水道を生活用水として利用する暮らしぶりの中で、政所茶や木地物生産などの伝統が育まれてきました。

  • 伊庭の水辺景観
  • 五個荘金堂
  • 永源寺と奥永源寺の山村景観

滋賀県近江八幡市のおすすめ

伊崎寺

伊崎寺は山号を「姨倚耶山(いきやさん)」といい、比叡山無動寺明王堂、葛川明王院と並んで天台修験の三大聖地のひとつに数えられています。奈良時代、修験道の開祖とされる役行者がここを最初に見つけて行場とした際に、イノシシが先導したという伝承があり、そこから「猪先(いさき)」という名になったと伝えられています。真夏に行われる千日会では、回峰行を修する修行僧が、湖面に突き出た棹の先から琵琶湖に飛び込む「棹飛び」が行われています。この行は回峰行によって得られた力を身に付けた僧が、母なる琵琶湖に飛び込むことにより、新たな命を生み出す行事とも考えられています。

近江八幡の水郷

琵琶湖八景の一つ「春色・安土八幡の水郷」
そこは、琵琶湖の内湖のひとつである西の湖を中心とした水郷で、ヨシの群落が広がり、水鳥が集い、さまざまな湖魚が棲んでいます。近江八幡の人々は、湖の豊かな自然を保って利用しながら、独特の景観を長く維持してきました。平成18年には、重要文化的景観の第一号に認定されています。

沖島

沖島は琵琶湖最大の島で、300人ほどの人たちが暮らしています。有人の湖の島は大変珍しく、様々な面で学術的にも注目されています。かつて湖上交通を祈願した神の島で無人島でしたが、保元・平治の乱に敗れた清和源氏の流れを汲む武者が島を開拓し、定住したのが有人島の始まりと伝えらています。島から眺める長命寺山や鈴鹿山系、比良山系の美しさは、琵琶湖に浮かぶ島ならではのものです。湖に囲まれた沖島の生業は漁業で、湖魚の漁獲とその加工が島民の生計を支えてきました。多様な漁法や独自の食文化など、琵琶湖の恵みに支えられた島の暮らしには、どこか懐かしい空気が漂っています。

  • 伊崎寺
  • 近江八幡の水郷
  • 沖島

滋賀県高島市のおすすめ

海津・西浜・知内の水辺景観

海津・西浜・知内地区は琵琶湖北部の主要な港町・宿場町そして漁村として栄えた町です。湖岸には、風波から家宅を守るために江戸時代に代官西与一左ェ門によってつくられた、城壁を思わせる古い石積みが延々約1.2㎞にわたり残っています。この湖岸の石積みをはじめ、河川や内湖、共同井戸、知内川で続けられている伝統的なヤナ漁など、多様な水文化が存在します。この地区の水辺景観は、平成20年に全国で5番目の重要文化的景観に選定され、その景観を構成する重要な要素として、海津・西浜の石積みのほか、漁業組合の旧倉庫、町屋などを定めています。

針江・霜降の水辺景観

地域の綺麗な湧き水を「生まれる水」と書いて「生水(しょうず)」と呼び、昔から大切に利用してきました。霜降地区では、川の中にお地蔵様が祀られているところが随所にあり、水をきれいに大切に使われていることがわかります。針江地区では、生水の郷のシンボル的存在である水車を設置し、池や水路に鯉を飼い、梅花藻を育てるなど、美しい水のある風景をつくり出しています。
針江生水の郷委員会では、びわ湖周辺の豊かな自然や水辺の暮らしまたは地域の人々に触れることができるかばた見学ツアーを行なっています。(見学には予約が必要です。)

大溝の水辺景観

大溝地区は、高島市南部の湖岸一帯に位置し、古来より陸路と水路が交わる交通の重要拠点でした。天正6年(1578)に、織田信長の甥にあたる織田信澄が築いた大溝城や、元和5年(1619)に大溝藩主として入封した分部光信が、大溝城跡に陣屋を構え整備した城下町、琵琶湖と内湖である乙女ヶ池、乙女ヶ池沿いの打下集落を含む一帯が、重要文化的景観に選定されています。大溝城は、内湖である乙女ヶ池を外堀として取り入れた水城で、乙女ヶ池に隣接し本丸天守台跡の石垣が残っています。城下町を流れる町割り水路は、飲用・防火用の生活用水路で、水の豊かな高島ならではの町づくりです。また、琵琶湖と内湖の水を巧みに利用しながら、生活と生業が形成されており、地域の自然環境と歴史が調和した景観や人々の暮らしを今に伝えています。

  • 海津・西浜・知内の水辺景観
  • 針江・霜降の水辺景観
  • 大溝の水辺景観