世界に知られた、温泉に浸かるサル。
地獄谷野猿公苑は、長野県の北部、横湯川の渓谷にある地獄谷温泉の奥に位置しています。標高850m、冬には1mを越える雪に覆われる地ですが、1964年の開苑以来、野生のニホンザルの生態を間近で観察できる場所として知られています。また地獄谷野猿公苑のサルは、温泉に浸かるサルとしても世界的に知られ、雪の中、温かい温泉にのんびり浸かるサルの姿は“スノーモンキー”などと呼ばれて有名になりました。1970年には、米「LIFE」誌の表紙に掲載され海外に大きく紹介されました。多い時では観光客の50%が海外から訪れており、温泉でリラックスする表情を見せる子ザル、老ザルの姿を写真におさめる姿が見られます。
また川の対岸には、100度近い噴泉を上げる渋の地獄谷噴泉があります。険しく切り立った崖に囲まれ、川底から吹き上がる熱泉は高さ20mにもなるといい、その光景は地獄谷と呼ばれる所以でもあります。
“野生”のニホンザルと自然を観察。
ニホンザルは高度な社会性を持つ動物であり、群れで行動します。動物園等では本来の行動を見るのは難しいため、より自然に近い状態で観察することが望ましいといわれます。それを可能にした施設が、地獄谷野猿公苑です。ニホンザルは餌を求めてやってきて、寒い季節には温泉にも入ります。しかしサルにとって、それは生活の一部分であり、森で自由に生活しているので、自然のままの姿を見ることができます。サルの餌付けは、人間の生活環境を荒らさず、サルと人間生活を分離して観察するために行われています。ショーではないため、観光客による餌付けは禁止されており、餌付けの時間も公表されていません。ここにいるサルは野生のニホンザルであるといわれるのはそのためです。
温泉でほっこりあたたまるサルを眺めていると、こちらも癒やされること間違いなし。サルの観察とともに、周囲の豊かな自然も楽しみましょう。
*野生動物の生息地で徒歩区間が2kmあり、自然豊かな環境で観察することとなるので、アウトドアレジャーに適した、天候にあった装備・準備が必要です(特に冬シーズンは転倒の危険があるので、革靴やサンダルは厳禁)。